★食品加工において重要な役割を果たすメイラード反応についてまとめた国内初の成書!
★食品と生体におけるメイラード反応のメカニズムと制御法について専門家が解説!
★メイラード反応を利用した食品開発について開発担当者が解説!

メイラード反応の機構・制御・利用
Mechanism, Control and Use of the Maillard Reaction

商品概要
個数

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略称
メイラード反応
商品No
bk7574
発刊日
2016年04月08日(金)
ISBN
978-4-7813-1154-8
体裁
B5判、229ページ
価格
72,600円 (本体価格:66,000円)
送料
当社負担(国内)
発行
(株)シーエムシー出版
問い合わせ
Tel:03-5857-4811 E-mail:[email protected] 問い合わせフォーム
監修
宮澤陽夫  東北大学
著者
宮澤陽夫  東北大学 
早瀬文孝  明治大学 
渡辺寛人  明治大学 
村田容常  お茶の水女子大学 
永井竜児  東海大学 
大野礼一  東海大学 
荒川翔太郎  東海大学 
白河潤一  東海大学 
永井美芽  東海大学 
城愛理  東京大学 
稲城玲子  東京大学 
棟居聖一  金沢大学 
原島愛  金沢大学 
山本靖彦  金沢大学 
山中幹宏  シャープ(株)
斎藤充  東京慈恵会医科大学
有原圭三  北里大学 
戸田雅子  ドイツ連邦 ポール・エーリッヒ研究所 
能見祐理  新潟薬科大学
伊藤隼哉  東北大学
仲川清隆  東北大学
大畑素子  北里大学
周蘭西  北里大学
木村ふみ子  東北大学
本城勝  東北大学 
宮田敏男  東北大学
柴本崇行  University of Carifornia
白河潤一  東海大学 
孟琦  岩手大学
菅原悦子  岩手大学 
早川茂  香川大学
松石昌典  日本獣医生命科学大学
島村智子  高知大学 
菅原達也  京都大学 
藤原章雄  熊本大学 
池田剛  崇城大学 
勝又忠与次  MCフードスペシャリティーズ(株) 
発刊にあたって
昨年9月に東京大学伊藤記念国際センターで、第12回国際メイラード反応シンポジウムを、理化学研究所の谷口直之先生を名誉組織委員長にお迎えして開催した。シンポジウムの組織委員は、メイラード反応に関し1990年に設立され世界で最も歴史のある日本メイラード学会(JMARS)のメンバーが務め、海外100名、国内200名の参加者で成功裏に開催することができた。本書の刊行には、本シンポジウムで討議された最先端の研究成果を整理する目論みもあった。

メイラード反応の研究は、我が国では、食品のアミノ・カルボニル反応に代表される褐変やフレーバーに関する有機化学や分析化学系の研究者と、生体内でのメイラード反応産物の生理作用に関する医薬系研究者により進められてきた。メイラード氏は、1900年代に料理の過熱による褐変現象を最初に科学的に研究したフランスの科学者である。食品領域では、加工によってその付加価値を高めるために、菓子類、飲料、発酵・醸造食品などでこの反応の重要性が古くから注目され、我が国の研究者はこの領域で世界をリードしてきた。食品産業界では、油脂の酸化劣化の防止と並んで大変に重要な反応である。一方、近年、生体においてはいまだ十分には解明しきれていないが、高血糖環境における非酵素的なメイラード反応(グリケーション)による生体成分の修飾が注目されてきている。1975年に糖尿病マーカーであるHemoglobin A1cが発見され、最近では膜アミノリン脂質のグリケーションも明らかにされている。これが本当に生理的に意味のある現象であるのか、加齢・老化による正常な反応なのか、検出精度の高い選択的な分析法の開発が求められるとともに、糖尿病、動脈硬化、神経変性疾患、腎臓病など、医薬の研究者からも興味が持たれている。

我が国、そして世界の健康長寿を支える食品・医薬産業の発展のためにもメイラード反応のより高次な理解が求められている。本書は、これに応えられる、ヒントの詰まった内容になっている。本書を一読することにより、メイラード反応の現在が理解でき、この反応に関心のある研究者、医師、栄養士の方々のお役に立ち得ると信ずる。
書籍の内容
【第Ⅰ編 総論・科学】

第1章 メイラード反応の概要    (宮澤陽夫)
1 食品のメイラード反応
2 生体内のメイラード反応

第2章 メイラード反応の化学  (早瀬文孝 / 渡辺寛人)
1 はじめに
2 メイラード反応に関与する化合物
2.1 アミノ化合物
2.2 カルボニル化合物
3 初期段階生成物
4 アルドース由来のカルボニル化合物の生成
4.1 オソンとデオキシオソンの生成
4.2 3-デオキシオソンの分解生成物
4.3 ストレッカー分解生成物
5 ケトースによる反応
6 酸素の関与と活性酸素の生成
7 メイラード反応に影響する諸因子
8 メイラード反応国際会議

第3章 食品とメイラード反応  (村田容常)
1 メイラード反応の食品学的意義
2 反応条件
3 グルコースとキシロースの比較

第4章 生体内のメイラード反応  (永井竜児 / 大野礼一 / 荒川翔太郎 / 白河潤一 / 永井美芽)
2 生体におけるAGEsの生成経路
3 AGEs生成と中間体カルボニル化合物について
4 生体AGEsの検出法
5 ミトコンドリアの代謝異常から生成する構造
6 AGEs研究の今後と注意点について


第5章 疾病とメイラード反応  (城愛理 / 稲城玲子)
1 総論
2 メイラード反応が細胞機能に与える影響
3 メイラード反応が関与する疾患
3.1 糖尿病
3.2 動脈硬化・高血圧
3.3 慢性腎臓病
3.3.1 AGEsによって促進されるシグナル伝達経路
3.3.2 細胞外基質タンパクの糖化
3.3.3 腎不全における食事中AGEsの影響
3.4 肝疾患
3.5 骨粗鬆症
3.6 神経疾患
3.7 眼疾患(白内障)
3.8 悪性腫瘍(癌)
3.9 酸化ストレスや加齢による臓器障害における糖化抑制酵素GLO1の役割
3.9.1  GLO1は虚血による腎障害を抑制する
3.9.2  GLO1は腎臓の老化を抑制する
3.9.3  GLO1は血管の老化を抑制する
4 治療法
5 まとめ

第6章 AGE受容体RAGE  (棟居聖一 / 原島愛 / 山本靖彦)
1 はじめに
2 RAGEの発現と機能,細胞内シグナリング
3 RAGEの分子多様性とデコイ受容体
4 RAGEを標的としたRAGE関連疾患治療の可能性
5 おわりに

第7章 AGEsの検出  (山中幹宏 / 永井竜児)
1 簡便なAGEs測定の必要性
2 腎症患者血清における蛍光スペクトルの測定
3 液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC-MS/MS)による血清中のN'-(5-hydro-5-methyl-4-imidazolone-2-yl)-ornithine (MG-H1)の測定
4 経皮蛍光測定装置について
4.1 ファイバー型測定装置
4.2 肌メラニン測定
4.3 ヒト臨床試験
4.4 統計分析
4.5 実験結果
4.5.1 透析患者血清の蛍光測定結果
4.6 経皮蛍光測定に適した部位の検討
4.7 指尖における経皮蛍光強度と糖尿病合併症の進行
5 考察

第8章 マーカー  (斎藤充)
1 はじめに
2 AGEsをバイオマーカーとして臨床研究がすすむ疾患とは
3 骨粗鬆症におけるAGEsの関与とガイドライン掲載への道のり
4 骨質マーカーとしてのAGEsの位置付け
5 加齢に伴うヒト骨・血・尿中ペントシジンの相関性
6 骨質マーカー:ペントシジンとカルボキシルメチルリジン
7 骨密度と骨質マーカーによる治療薬使い分けの可能性
8 糖尿病および腎機能低下に伴う骨コラーゲンのAGE化
9 おわりに

第9章 メイラード反応と特許  (有原圭三)
1 はじめに
2 特許情報プラットフォームによる特許情報の検索
3 メイラード反応に関わる特許の状況
4 メイラード反応に関する特許出願事例
5 おわりに

【第Ⅱ編 現象・制御】
第10章 アミノ酸・ペプチド・タンパク質   (戸田雅子)
1 はじめに
2 アミノ酸
2.1 香気と呈味成分の生成
2.2 抗酸化作用の誘導
2.3 その他の機能について
3 ペプチド
3.1 ペプチドだけが生成する香気成分
3.2 呈色物質の生成
3.3 小腸における消化吸収
3.4 機能性ペプチド創出への応用
4 タンパク質
4.1 分子間架橋の形成とその影響
4.2 低アレルゲン化食品への応用
4.3 タンパク質の機能性向上への応用

第11章 糖質(還元糖)  (能見祐理)
1 はじめに
2 糖の種類の違いが反応に及ぼす影響
3 糖由来のジカルボニル化合物
4 ジカルボニル化合物の開裂機構
5 食品中に含まれる糖由来分解生成物
6 おわりに

第12章 脂質   (伊藤隼哉 / 仲川清隆)
1 食品や生体におけるタンパク質・脂質のメイラード反応,およびその制御
2 脂質メイラード産物の測定,食品や生体における糖化脂質の濃度
3 脂質メイラード産物の新しい測定法

第13章 メイラード反応と色調  (渡辺寛人 / 早瀬文孝)
1 はじめに
2 オリゴマー型色素化合物
3 メラノイジンの生成
4 メラノイジン前駆体
5 カラメル化反応(caramerization)

第14章 メイラード反応と香り  (大畑素子 / 周蘭西)
1 はじめに
2 ペプチド由来のメイラード反応で生成する香気
3 メイラード反応により生成する香気の生理作用
3.1 メイラード反応で生成する香気の生理作用~血圧への作用~
3.1.1 食肉タンパク質分解物由来の香気成分の血圧低下作用
3.1.2 血圧低下に関与する香気成分の検索
3.2 メイラード反応で生成する香気の生理作用~脳波への作用~
3.2.1 グリシン・グルコース系メイラード反応生成香気成分の脳波への影響
3.2.2 脳波に影響する香気成分の検索
4 おわりに

第15章 メイラード反応と保健的機能性  (木村ふみ子 / 宮澤陽夫)
1 はじめに
2 食品のメイラード産物
3 原料によるメイラード産物の違い
4 食品中の含量と日常摂取量
5 メイラード産物の吸収
6 消化管におけるメラノイジンの保健機能
7 抗酸化作用
8 食物繊維様作用とプレバイオティック機能
9 抗菌作用
10 抗変異原性作用
11 おわりに

第16章 糖化と老化  (本城勝 / 宮田敏男)
1 はじめに
2 老化と糖化ストレス
3 加齢性疾患とAGEsとの関連
4 糖化ストレス抑制による病態の制御
5 おわりに―糖化制御とアンチエイジング

第17章 有害物質の生成  (柴本崇行)
1 始めに
2 多環芳香族炭化水素 [Polycyclic Aromatic Hydrocarbons (PAHs)]
3 複素環アミン化合物 [Hetero Cyclic Amines (HCAs)
4 アクリルアミド
5 4(5)-メチルイミダゾール
6 結論

第18章 メイラード反応の阻害(抗糖化)  (白河潤一 / 永井竜児)

【第Ⅲ編 食品】
第19章 味噌・醤油の特有香気成分の生成とメイラード反応  (孟琦 / 菅原悦子)
1 味噌・醤油のおいしさはメイラード反応と微生物によってつくられる
2 味噌と醤油に共通する特有香気成分の生成とメイラード反応
3 HEMFは酵母がメイラード反応物から生成する
4 味噌・醤油の香気に寄与するチオール化合物の生成とメイラード反応
5 2FMの生成にもメイラード反応と酵母が関与する

第20章 鶏卵とメイラード反応  (早川茂)
1 はじめに
2 卵白タンパク質の機能特性におけるメイラード反応の影響
3 溶解性
4 加熱ゲル形成性
5 乳化性
6 起泡性
7 抗菌性
8 免疫原性
9 おわりに

第21章 食肉とメイラード反応  (松石昌典)
1 はじめに
2 香気成分
3 コク味物質
4 タンパク質と糖の反応物

第22章 牛乳のメイラード反応  (島村智子)
1 牛乳の加熱殺菌
2 メイラード反応と牛乳の品質
2.1 風味への影響
2.2 タンパク質への影響
3 牛乳のメイラード反応のモニタリング
3.1 従来法
3.2 XTT法
4 牛乳中の溶存酸素とメイラード反応

第23章 水産食品とメイラード反応  (菅原達也)
1 はじめに
2 魚介肉
3 ねり製品
4 魚介類乾燥品

第24章 希少糖とメイラード反応  (早川茂)
1 希少糖の特徴
2 食品タンパク質の希少糖による糖化
3 希少糖による糖化タンパク質の抗酸化性
4 希少糖による糖化タンパク質の加工特性
5 食品加工における希少糖とメイラード反応

第25章 抗糖化作用を有する天然物由来成分や食品について  (藤原章雄 / 池田剛 / 永井竜児)
1 はじめに
2 CMLの生成を抑制する物質
3 Pentosidineの生成を抑制する物質
4 CMAの生成を阻害する物質
5 おわりに

第26章 メイラードペプタイド  (勝又忠与次)
1 はじめに
2 MRPsによる塩味修飾効果の評価(動物試験とヒト官能評価)
2.1 方法
2.2 結果
3 MRPsの作用する塩味レセプターについて
4 おわりに

第27章 D-キシロースとのメイラード反応を利用した食品加工  (島田裕司)
1 はじめに
2 キシロースの製造
3 メイラード反応を利用する際の注意点
4 キシロースの利用用途
4.1 甘味料として利用
4.2 焼き色改善、フレーバー改善を目的とした利用
4.3 食品以外の染色に利用
4.4 抗菌活性の付与に利用
4.5 キシリトールの原料として利用
5 キシロースとのメイラード反応を利用した調理例
6 おわりに
 
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