次世代デバイスの設計に欠かせない,バンドギャップエンジニアリングを徹底解説!グラフェン,窒化物発光ダイオード,量子ドットなど,注目材料・技術が満載!

バンドギャップエンジニアリング
次世代高効率デバイスへの挑戦

商品概要
個数

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略称
バンドギャップエンジニアリング
商品No
bk7361
発刊日
2011年12月01日(木)
ISBN
978-4-7813-0508-0
体裁
B5判,252ページ
価格
72,600円 (本体価格:66,000円)
送料
当社負担(国内)
発行
シーエムシー出版
問い合わせ
(株)R&D支援センター TEL:03-5857-4811 MAIL:[email protected]
監修
大橋直樹
著者
大橋直樹   (独)物質・材料研究機構 環境・エネルギー材料部門 部門長
黒田 隆   (独)物質・材料研究機構 先端フォトニクス材料ユニット 主幹研究員
大友 明   東京工業大学 大学院理工学研究科 応用化学専攻 教授
大場史康   京都大学 大学院工学研究科 材料工学専攻 准教授
原 和彦   静岡大学 電子工学研究所 教授
吉川信一   北海道大学 大学院工学研究院 教授
鱒渕友治   北海道大学 大学院工学研究院 助教
朱新文    北海道大学;(現)横浜油脂工業㈱ 社長付
迫田和彰   (独)物質・材料研究機構 先端フォトニクス材料ユニット ユニット長
佐久間芳樹  (独)物質・材料研究機構 先端的共通技術部門 先端フォトニクス材料ユニット 量子ナノ構造グループ グループリーダー
大島祐一   日立電線㈱ 技術研究所 先端電子材料研究部;(現)(独)物質・材料研究機構 環境エネルギー材料部門 光・電子材料ユニット 光学単結晶グループ
天野 浩   名古屋大学 大学院工学研究科 電子情報システム専攻 教授
中西洋一郎  静岡大学 電子工学研究所 特任教授
奥村 元   (独)産業技術総合研究所 先進パワーエレクトロニクス研究センター 研究センター長
神谷利夫   東京工業大学 応用セラミックス研究所 教授
柳  博   山梨大学 大学院医学工学総合研究部 准教授
戸田喜丈   東京工業大学 フロンティア研究センター 研究員
細野秀雄   東京工業大学 フロンティア研究センター 教授
小出康夫   (独)物質・材料研究機構 光・電子材料ユニット グループリーダー
島村清史   (独)物質・材料研究機構 光・電子材料ユニット 光学単結晶グループ グループリーダー
Encarnación G. Víllora  (独)物質・材料研究機構 光・電子材料ユニット 光学単結晶グループ 主任研究員
古海誓一   (独)物質・材料研究機構 応用フォトニック材料グループ 主幹研究員;(独)科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業さきがけ「ナノシステムと機能創発」 さきがけ研究者
原田直樹   (独)産業技術総合研究所 連携研究体グリーン・ナノエレクトロニクスセンター 特定集中研究専門員
安達千波矢  九州大学 最先端有機光エレクトロニクス研究センター センター長・教授
関口隆史   (独)物質・材料研究機構 ナノエレクトロニクス材料ユニット グループリーダー
中田時夫   青山学院大学 理工学部 教授
水崎壮一郎  青山学院大学 理工学部 助教
宮内雅浩   東京工業大学 大学院理工学研究科 材料工学専攻 准教授
後藤英司   千葉大学 大学院園芸学研究科 環境調節工学研究室 教授
発刊にあたって
バンドギャップ,あるいは,バンドエンジニアリング,という言葉は,近年の技術開発において,より重要性を増してきている。そこには,二つの社会的トレンドが存在すると考えられる。まず,情報通信技術(IT技術,ICT技術)の発展である。Fiber-to-the-home(FTTH)といわれる光ファイバーの一般家庭への敷設やLong-term-evolution(LTE)といわれる次世代大容量無線通信をはじめとする通信の大容量化,あるいは,光ディスクなどの記憶装置や記憶媒体の大容量化等によって,高精細な画像情報が身近なものとなり、それを表示するための画像端末の高性能化が大きな技術開発要素となった。これが引き金となり,液晶パネルをはじめとする画像表示装置やスマートフォンなどの画像端末などの電子機器が日進月歩の勢いで発展している。後に述べるとおり,画像関連機器は,まさに,バンドエンジニアリングの大きな活躍場所の一つとなっている。その一方で,化石燃料の枯渇,地球環境の変動という人類存亡に関わる問題が顕在化してきたことによって,再生可能エネルギー,特に,化石燃料を用いない発電に注目が集まっている。その旗手ともいえるものに太陽光利用技術がある。先の画像表示と同様,この太陽光利用技術もまた,バンドエンジニアリングの活躍場所の一つとなっている。こうした背景を受け,バンドエンジニアリングに関する基礎科学的な知見,さらに,そのバンドエンジニアリングを応用した様々な技術を紹介することを目的として,本書は編纂されている。
 本書の前半部分は,バンドエンジニアリングに関係する基礎的な事柄をおさらいすることを目的に構成されている。すなわち,バンドエンジニアリングという言葉から最初に想起される,いわゆる半導体の基礎からスタートしている。特に,第Ⅰ編第2章から第4章(黒田先生,大友先生,大場先生)において,バンド理論や電子論に基づく半導体の基礎を示す。バンドエンジニアリングとは,しかるべきバンドギャップを持った材料を適材適所で利用することで,高い性能を持った素子や装置を得ようとするものである。その大きな応用先は,後に示すとおり,発光や光吸収といった光関連機能の制御である。そこで,光に関する応用の視点から,第Ⅰ編第5章と第6章(原先生,吉川先生)においては,バンドエンジニアリングの応用に関する基礎を示している。
 一方,本書の後半部分は,バンドエンジニアリングの応用についてまとめたものとなっている。特に,半導体のバンドギャップは,光の波長との関係,特に,人間の目が感じることの出来る可視光の波長を基準に語られることが多い。その意味で,バンドエンジニアリングの適用先としてもっとも典型的なものは,ディスプレーである。最近の報道によると,色覚を持っているのは,霊長類のうちでもごく一部であり,その色覚は,危険(たとえば,蛇)を察知するために発達したとの説が発表されたそうである。その人の目を通じて画像情報を伝えるためには,少なくとも,赤(R),緑(G),青(B)の色を出してくれる 3種類の材料がそろわなければならず,第Ⅱ編第2章(天野先生),第Ⅱ編第3章(中西先生),第Ⅱ編第10章(安達先生)で議論されるような発光材料開発が必須となる。また,近年のフラットパネルディスプレーでは,希少資源問題で取りざたされる透明導電体という材料が,ほぼ必ず利用されている。そのため,第Ⅱ編第5章(神谷先生)では,透明導電体技術についても紹介する。
 さて,先にも述べたとおり,エネルギー問題は,人類最大の問題と位置づけられる。そこで,第Ⅱ編第12章(中田先生)で太陽光発電,また,第Ⅱ編第13章(宮内先生)では光触媒をそれぞれ取り上げ,光からの電気エネルギー,化学エネルギーを得るための技術を紹介する。エネルギー問題の解決には,エネルギーを作ることだけでなく,その消費を抑えることが重要である。そのため,バンドエンジニアリングの主たる活躍場所となるIT技術と省エネルギー技術の両者の重なりの部分に,IT機器の省エネという問題が存在している。すなわち,情報通信によって,人や物の動きを減らすことで社会・エネルギーの効率化を図るために導入されるはずの IT機器であるが,そこで消費される電力が急速に伸びてしまっている。また,天候などによってその発電量に変動が生じる再生可能エネルギーの有効活用には,IT技術を利用したスマートグリッドなどの電力マネジメントの必要性が高まってくる。そうした視点から,第Ⅱ編第4章(奥村先生)では,電力マネジメントに必要となるパワーエレクトロニクス技術について取り上げる。もちろん,IT機器自体の省力化は必須であり,第Ⅱ編第 9章(原田先生)や第11章(関口先生)において,次世代のマイクロエレクトロニクスに向けた技術開発の状況を紹介する。
 これまでに述べたIT機器,あるいは,省エネルギー装置の発展には,それを実現するためのプロセス技術も不可欠である。たとえば,半導体を素子に応用するには,まず,高品質の結晶を得る技術が不可欠であり,シリコン半導体プロセスでは短波長紫外線を用いた露光技術が必須である。そうした視点から,バンドエンジニアリングに関わるプロセス技術の例として,第Ⅱ編第1章(大島先生)において窒化物半導体ウエファーの結晶成長,また,第Ⅱ編第7章(島村先生)においては,様々な波長のレーザーを利用するための光学結晶・光学素子について紹介する。
 これまで述べてきたとおり,バンドエンジニアリング,といわれると,まずは,照明やディスプレー,さらには,光ファイバー通信に用いられる赤外波長を想起するところではあるが,バンドエンジニアリングの進展は,これまでになかった新たな光の応用先を拓きつつある。近年の報道に見られるように,太陽光ではなく,人工光を用いた農業も注目される技術となりつつある。そこで,第Ⅱ編第14章(後藤先生)においては,バンドエンジニアリングの新たな応用先の一つと見られる,農業への応用についても紹介することとした。また,人の目に見えないことは勿論のこと,地上に届く太陽光にすら含まれない短い波長の紫外線について,第Ⅱ編第6章(小出先生)でその応用を紹介する。
 なお,本書では,バンドエンジニアリングをなるべく広い概念として捉えることが一つの狙いとなっている。そのため,一般的な半導体のバンド構造の話題に加え,フォトニックバンドや量子構造に見られるサブバンド構造についても触れることとした。そこで,フォトニックバンド構造については,第Ⅰ編第7章(迫田先生)においてその基礎を示し,第Ⅱ編第8章(古海先生)ではフォトニック構造の新たな応用先として興味深い,オールプラスチックレーザーの技術を紹介する。また,第Ⅰ編第8章(佐久間先生)において,量子構造に見られるサブバンド構造についての基礎を紹介する。
 上記の通り,バンドエンジニアリング,という言葉から想起される様々な技術について,なるべく広い視点から紹介することを本書の目論見とした。しかし,当然ながら,本書の範囲ですべてを包含できるものではない。本書が,バンドエンジニアリングに興味を持ち,また,それを様々な研究開発に役立てようとする読者にとって,何かの知見を与えるものとなっていれば,編集に携わった者としてこの上ない幸せである。なお,最後に,ご多用中にもかかわらずすばらしい原稿をお寄せいただいた執筆者の先生方に謝意を表する。

2011年12月(独)物質・材料研究機構
大橋直樹
書籍の内容
【第I編 理論・基礎】

第1章 総論:バンド理論とバンドギャップ  大橋直樹

1 電子と原子核

2 多体問題

3 化学結合と電子軌道

4 バンドギャップと光・電子特性

5 バンドエンジニアリングの役割

第2章 半導体の光物性とバンドギャップ  黒田 隆

1 はじめに

2 バンド間遷移と自然放出寿命

3 励起子効果

4 励起子重心運動の影響

  4.1 励起子ポラリトン
  4.2 励起子遷移の巨大振動子効果

5 バンド端の発光スペクトル

  5.1 浅い不純物の束縛励起子
  5.2 GaAs のバンド端発光
  5.3 六方晶GaN のバンド端発光

第3章 半導体ヘテロ接合のバンド構造と分極効果  大友 明

1 量子井戸構造

2 半導体ヘテロ超格子

3 分極効果

  3.1 ピエゾ分極
  3.2 自発分極
  3.3 理論と実験の比較

4 デバイス応用

第4章 半導体の物性シミュレーション―第一原理計算を用いた物性シミュレーションの基礎と現状―  大場史康

1 はじめに

2 半導体の電子構造および諸物性のシミュレーション

  2.1 第一原理計算に用いられる近似
  2.2 シミュレーションモデルと境界条件

3 半導体への応用例

  3.1 完全結晶の諸特性とバンド構造
  3.2 合金のバンドギャップ
  3.3 バンドアラインメントと界面オフセット

4 おわりに

第5章 光,波長,色  原 和彦

1 光の波長

2 視感度と光束

3 測光量の定義と単位

4 色覚と表色系

5 CIE表色系

第6章 オキシナイトライドの顔料,蛍光体としての特性の基礎  吉川信一,鱒渕友治,朱新文

1 はじめに

2 オキシナイトライド顔料

3 オキシナイトライド蛍光体

4 まとめ

第7章 フォトニックバンドギャップ  迫田和彰

1 序論:光のバンドエンジニアリング

2 フォトニックバンドギャップ

3 発光の抑制と増強

4 フォトニック結晶共振器と導波路

5 結語:フォトニック結晶の実用化への期待

第8章 量子ナノ構造とエネルギーバンド  佐久間芳樹

1 はじめに

2 超格子のバンドギャップエンジニアリング

  2.1 ミニバンド
  2.2 ブロッホ振動
  2.3 サブバンド間遷移デバイス

3 ヘテロ接合と量子ナノ構造

  3.1 格子定数とバンドギャップ
  3.2 格子整合と歪み成長
  3.3 歪みとバンドギャップエンジニアリング
  3.4 バンドオフセットとヘテロ接合の分類
  3.5 量子ナノ構造の物性機能
  3.6 低次元構造のサブバンドと状態密度

4 おわりに

【第II編 応用】

第1章 バンドギャップエンジニアリングにおける結晶成長技術  大島祐一

1 はじめに

2 エピタキシャル成長技術の概要

  2.1 LPE法
  2.2 MOVPE法
  2.3 HVPE法
  2.4 MBE法

3 結晶成長技術への要求と工学的課題

  3.1 混晶の成長とドーピング
  3.2 ヘテロ構造の作製
  3.3 ナノ構造の作製

4 おわりに

第2章 光源技術の動向―LED―  天野 浩

1 はじめに

2 AlGaInNの結晶成長

3 伝導性制御

4 LED及びLD

5 まとめ

第3章  LEDランプと蛍光体  中西洋一郎

1 はじめに

2 発光の原理

  2.1 熱放射
  2.2 ルミネッセンス

3 発光中心(付活剤)の種類

  3.1 非局在型発光中心
  3.2 局在型発光中心

4 蛍光体のバンドエンジニアリングと発光色の制御

5 LED照明における白色の形成方法

6 白色LEDの特性に影響を及ぼす蛍光体の特性

  6.1 内部量子効率
  6.2 外部量子効率
  6.3 温度特性
  6.4 粒度分布
  6.5 耐久性

7 白色LED用蛍光体

8 おわりに

第4章 パワーエレクトロニクスとバンドエンジニアリング  奥村 元

1 パワーエレクトロニクスとワイドギャップ半導体

2 ワイドギャップ半導体の基礎的性質

  2.1 結晶構造とバンド構造
  2.2 ワイドギャップ半導体のパワーデバイス材料としての諸物性

3 パワー半導体デバイスとバンドギャップ

第5章 透明導電体のバンドアライメントとヘテロ接合  神谷利夫,柳 博,戸田喜丈,細野秀雄

1 はじめに

2 重要な電子構造パラメータ

3 バンドアライメントとドーピング則

4 バンドアライメントとSchottky-Mott(SM)則

5 バンドアライメント図の作り方

6 真空準位に関する注意

7 SM則に関する注意

8 いくつかの実例

9 まとめ

第6章 ソーラーブラインド特性とその応用―地上の太陽光に含まれない短波長紫外線の話題を中心に―  小出康夫

1 はじめに

2 深紫外線のセンシング原理

3 深紫外線センサのデバイス構造

4 ソーラーブラインド特性を持つ紫外線センサ

5 ソーラーブラインド型ダイヤモンド深紫外線センサ

6 火災検知システムの試作例

7 まとめ

第7章 光学結晶とバンドギャップ  島村清史,Encarnación G. Víllora

1 強誘電体フッ化物BaMgF4単結晶

2 基板用β-Ga2O3単結晶

3 レンズ用F-ドープ・コアフリーY3Al5O12単結晶

4 光アイソレーター用{Tb3}[Sc2-xLux](Al3)O12単結晶

第8章  コロイド結晶のフォトニックバンドギャップによるレーザー発振  古海誓一

1 はじめに

2 コロイド結晶膜の作製と光特性

3 レーザーデバイスの作製と光特性

4 フレキシブルレーザーの実証

5 まとめ

第9章 グラフェンとバンドエンジニアリング  原田直樹

1 はじめに

2 単層グラフェンのバンド構造

3 グラフェン・バンドエンジニアリング

  3.1 グラフェンナノリボン
  3.2 グラフェンナノメッシュ
  3.3 異種基板上に形成したグラフェンのギャップ形成
  3.4 電界を印加した2層グラフェン

4 グラフェン・バンドエンジニアリングの今後

第10章 有機半導体のエネルギーレベルの制御―新しい発光機構に基づく高効率発光デバイスの創製へ― 安達千波矢

1 まえがき

2 ポルフィリン誘導体のTADF現象

3 新しいTADF分子の設計

4 むすび

第11 章 シリコン歪み格子とその応用―歪シリコン,シリコンゲルマニウム混晶の物性制御― 関口隆史

1 はじめに

2 SiGe薄膜上の歪Si

3 歪Si/グローバル歪とローカル歪

4 混晶を使った直接遷移化/SiGe, GeSn

5 シリサイド半導体

第12章 CIGS太陽電池の高効率化とバンドギャップ・エンジニアリング  中田時夫,水崎壮一郎

1 はじめに

2 CIGSのエネルギーバンド構造

3 CIGS太陽電池の動作原理

4 禁制帯幅プロファイル制御

5 デバイスシミュレーションによる最適デバイス設計

6 バッファ層/CIGS界面における伝導帯不連続

7 おわりに

第13章 光触媒とバンドエンジニアリング  宮内雅浩

1 はじめに

2 窒素のドープによる価電子帯側の制御

3 遷移金属のドープによる伝導帯側の制御

4 おわりに

第14章 農業と光  後藤英司

1 はじめに

2 施設園芸と植物工場

3 植物生育に必要な光波長域

4 植物の好む光波長

5 植物工場で用いられる光源の特徴

  5.1 人工光型
  5.2 太陽光利用型

6 植物生産におけるLEDの利用

7 LEDの課題

  7.1 白色系LED
  7.2 紫外線
キーワード
バンド,ギャップ,エンジニアリング ,次世代,高効率,デバイス,本,書籍
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