2024年11月06日(水)
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・半導体業界の新材料に興味がある方。
・基礎的な半導体や結晶成長に関する知識。
・出来るだけ専門用語を用いずに、新材料であるGeO2の特徴をお話しますので、初学者の方も御参加下さい。
・新しいパワー半導体材料であるGeO2の半導体としての特徴や世界の研究状況などの知識が得られます。
大きな可能性を秘めた新しいパワー半導体材料である二酸化ゲルマニウム(GeO2)の特徴および、注目を集め始めた理由、社会実装の可能性についてお話します。GeO2は古くて新しい半導体で、熟練の半導体研究者・技術者の方はGe半導体基板の表面に形成する自然酸化膜を思い浮かべる方も多いと思います。
しかし、Ge表面に形成する酸化膜はアモルファス相のものですが、当研究室が注目しているのは、熱的最安定相であるルチル構造をもつ二酸化ゲルマニウム(r- GeO2)です。r- GeO2は水に不溶な薄膜となります。
パワー半導体として以下の3つの特徴があります。
(1) β-Ga2O3と同等の巨大なバンドギャップ(4.6 eV)をもち、パワー半導体の性能指標の一つであるバリガ性能指数(低周波)においてもSiCの10倍、β-Ga2O3の約3倍の性能をもつことが算出されています。2019年頃よりミシガン大学の Kioupakis教授のグループから、パワーデバイスとして優れた性能をもつことが理論予測され始めました。
(2) これまで超ワイドバンドギャップ半導体では難しかった、ドーピングによるp型とn型の導電性制御が可能である事と、電子、正孔ともに高い移動度を発揮する事が理論予測されています。これにより、パワー半導体市場で大きな割合を占める、ホモ接合でのNormally-off型MOSFETの作製が可能になります。
(3) そして1970年代よりCZ法、Flux法による微小バルク結晶の合成が報告されています。
つまり、ホモエピタキシャル成長が可能でp型、n型の両伝導が可能、さらに大きなバリガ性能指数を持つ事から、パワーデバイスの新しい候補材料として一気に注目を浴びました。しかしながら、r- GeO2は飽和蒸気圧が大きな材料であるため、従来の真空装置を用いた製膜手法では作製が困難でした。例えば2020年にKioupakis教授のグループからMBEによる極薄膜の作製が報告されましたが、成長速度が10 nm/hとかなり小さいものでした。当研究室では、真空を用いない液相製膜手法を応用する事で2021年に1μm/h以上の成長速度をもつ厚膜の作製を行いました。しかしながら、その薄膜には低結晶化領域が含まれており、結晶成長条件の最適化などが必要です。この材料の合成上の難しさとして様々な結晶相が混入するという問題があり、初期のSiC研究に非常に似通っています。
本セミナーでは、材料の特徴から製膜手法、今後の展開についてお話をします。
1.GeO2の可能性
1-1 パワー半導体の基本と新材料
1-2 GaNとSiCパワー半導体の今後
1-3 GeO2の可能性
2.なぜ、GeO2の薄膜合成はきわめて困難なのか?
2-1 真空成長手法による難しさ ~GeO2の高い飽和蒸気圧の壁~
2-2 非真空成長手法 ~ミストCVD法を例に~
3.GeO2厚膜の合成と高速成長
4.GeO2のバンドギャップ変調
5.世界のGeO2研究と現状
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