世界のエネルギーは石油,石炭,天然ガス,再生可能エネルギー,原子力で構成されており,日本の2016年の構成比率は石油が40%,石炭が25%,天然ガスが24%,再生可能エネルギーが7%,その他が4%である。
日本の石油産業は,昭和後期には国内で17社を数えたが,日本の人口減少や自動車のさらなる環境対応の進展で,燃料油の国内需要減少に伴い,石油産業は統廃合を加速させた。2019年4月には石油元売はJXTGエネルギー,出光昭和シェル,コスモ石油及び太陽石油の4社に統廃合された。今後とも安価で安定した原油確保と製品の高付加価値化で収益向上を図ることが重要である。カナダのオイルサンド,アメリカのシェールオイルなど安価な石油を調達するための強力なツールとして水銀除去技術がますます重要となっている。
本書は日本のベストミックスエネルギーの現状,国内石油会社とメジャーの動向,石油製品の需要予想,水銀除去装置の内容,原油調達の多角化などを詳述した。
石油元売り,石油化学メーカー,石炭メーカー,天然ガスメーカー,再生可能エネルギーメーカー,電力会社,ガス会社,鉄鋼メーカー,自動車メーカー,新エネルギー戦略会社など日本のエネルギーの未来と製油所の高度化に興味をお持ちの方々に本書をお勧めします。
第1章 日本のエネルギーとは
1 はじめに
2 石油エネルギー
3 石炭エネルギー
4 天然ガス
5 原子力エネルギー
6 再生可能エネルギー
7 今後のエネルギー
第2章 日本のベストミックスエネルギーの動向
1 石油燃料
1. 1 概要
1. 2 世界の石油の現状
2 オイルサンド
2. 1 概要
2. 2 世界のオイルサンドの現状
2. 3 日本のオイルサンドの現状
2. 4 オイルサンドの将来
3 石炭燃料
3. 1 概要
3. 2 世界の石炭の現状
3. 3 日本の石炭の現状
3. 4 石炭の将来
4 天然ガス
4. 1 概要
4. 2 天然ガスの現状
4. 3 日本の天然ガスの現状
4. 4 天然ガスの将来
5 シェールガス
5. 1 概要
5. 2 水平掘削
5. 3 水圧破砕
5. 4 採掘技術
5. 5 世界のシェールガスの現状
5. 6 米国のシェールガスの現状
5. 7 日本のシェールガスの現状
5. 8 SPEオランダ会議で日本のシェール薬剤企業が出展
5. 9 シェールガスの将来
6 原子力
6. 1 概要
6. 2 日本の原子力の現状
6. 3 原子力の将来
7 風力エネルギー
7. 1 概要
7. 2 設備の種類
7. 3 設備
7. 4 世界の風力エネルギーの現状
7. 5 風力エネルギーの将来
8 地熱エネルギー
8. 1 概要
8. 2 世界の地熱エネルギーの現状
8. 3 地熱エネルギーの将来
9 太陽光エネルギー
9. 1 概要
9. 2 太陽光発電設備
9. 3 発電原理
9. 4 世界の太陽光エネルギーの現状
9. 5 日本の太陽光エネルギーの現状
9. 6 太陽光エネルギーの将来
10 GTL
10. 1 概要
10. 2 世界のGTLの現状
10. 3 日本のGTLの現状
10. 4 GTLの将来
11 ジメチルエーテル(DME)
11. 1 概要
11. 2 世界のDMEの現状
11. 3 日本のDMEの現状
11. 4 DMEの将来
12 メタノール
12. 1 概要
12. 2 世界のメタノールの現状
12. 3 日本のメタノールの現状
12. 4 メタノールの将来
13 水素エネルギー
13. 1 概要
13. 2 化石燃料からの水素製造
13. 2. 1 水蒸気改質
13. 2. 2 部分酸化法
13. 2. 3 自己熱改質法
13. 2. 4 水素分離型改質
13. 2. 5 低温プラズマ改質
13. 3 工業プロセスの水素副生物
13. 3. 1 石油精製
13. 3. 2 アンモニア工業
13. 3. 3 製鉄工業
13. 3. 4 ソーダ工業
13. 4 新規開発プロセス
13. 4. 1 膜分離
13. 4. 2 水の電気分解
13. 5 世界の水素の現状
13. 6 日本の水素の現状
13. 7 水素の未来
第3章 日本の石油会社の動向
1 明治維新と石油産業
2 日本の石油会社
3 太陽石油株式会社
3. 1 概要
3. 2 国家石油備蓄
4 コスモ石油株式会社
4. 1 概要
4. 2 CBUプロジェクト
5 出光昭和シェル株式会社
5. 1 概要
5. 2 出光興産の歴史の映画化
6 JXTGエネルギー株式会社
6. 1 概要
6. 2 元社長渡文明氏の書籍
第4章 海外の石油会社の動向
1 レッドライン協定とアクナカリー協定
2 第2次大戦後
3 セブン・シスターズ石油支配の終焉
4 国際石油メジャー
4. 1 国際石油メジャーの変遷
4. 2 エクソン・モービル
4. 3 シェブロン・テキサコ
4. 4 シェル
4. 5 トタル(フランス石油)
4. 6 BP(英国石油)
4. 7 非国際石油メジャー
第5章 日本の石油製品需要と製油所の動向
1 はじめに
2 石油製品の国内外の需要予想
3 製油所の競争力
4 米・バレロ社のビジネスモデル
5 原油の調達法
5. 1 概要
5. 2 中東諸国
5. 3 東南アジア
5. 4 オーストラリア
6 製油所の高度化技術
6. 1 残油水素化分解装置(H-OIL)
6. 2 残油熱分解装置
6. 3 残油接触分解装置(RFCC)
7 石油に関わる機構
第6章 日本の製油所収益向上に向けた水銀除去技術の導入
1 はじめに
2 IHテクノロジー㈱の水銀除去装置(えひめスゴ技認定)
2. 1 画期的な水銀除去技術
2. 2 新研究法
2. 3 儲けの評価方法
2. 4 新研究法での水銀除去装置の開発
2. 5 水銀の吸着剤の開発
2. 6 水銀除去機構の解析
2. 7 水銀除去装置の国内外の評価
3 2017年石油学会京都大会での水銀装置の発表要旨
3. 1 背景
3. 2 実験
3. 3 実験結果及び考察
3. 4 まとめ
4 海外の水銀除去装置
5 水銀化合物の分析方法
5. 1 はじめに
5. 2 無機水銀化合物
5. 3 有機水銀化合物
5. 4 イオン水銀化合物
5. 5 まとめ
6 水銀分析方法
6. 1 水銀分析法
6. 2 日本インスツルメンツ㈱製の分析計
6. 3 タイプ別水銀の分析
7 野村興産㈱イトムカ鉱山
8 水銀の再利用
9 水銀の回収方法
10 水銀の保管・管理
11 つるつる温泉
12 水銀除去装置の建設
12. 1 ダイソーエンジニアリング㈱
12. 2 MRシステム
12. 3 湿式水銀除去システム
12. 4 蛍光管リサイクルプラント
13 水銀処理に関する規制
13. 1 バーゼル条約
13. 2 日本のバーゼル条約への対応
14 水俣水銀条約
14. 1 はじめに
14. 2 条約批准の経緯
14. 3 日本の水俣国際水銀条約への対応
15 国立水俣病総合研究センター
第7章 日本の製油所収益向上に向けた原油の多角化
1 米国
1. 1 はじめに
1. 2 シェールオイルの現状
1. 3 水平掘削
1. 4 水圧破砕
1. 5 現場の採掘技術
1. 6 環境対策
1. 7 日本の環境対策技術
2 カナダ
2. 1 カナダのオイルサンド
2. 2 日本のオイルサンドの研究開発及び掘削開発の動向
2. 2. 1 太陽石油㈱,大洋漁業㈱,塩水港精糖㈱,東京工業大学の共同研究
2. 3 カナダ企業のオイルサンドプロジェクト
2. 4 オイルサンドプロジェクトの未来
3 オマーン
3. 1 オマーンの概要
3. 2 現状
3. 3 将来
4 イラン
4. 1 イランの概要
4. 2 現状
4. 3 将来
5 ベトナム
5. 1 ベトナムの概要
5. 2 現状
5. 3 ニソン製油所の稼動状況
5. 4 将来
第8章 第四次産業革命が日本の製油所を変革
1 第四次産業革命の技術革新が石油製品需要予想を大きく変動
2 定置式燃料電池の燃料
2. 1 定置式燃料電池の普及
2. 2 定置式燃料電池の構造
2. 3 燃料電池の開発経緯
2. 4 定置式燃料電池の燃料
3 石油化学製品の原料
3. 1 石油化学のエチレン製造工程
3. 2 石油化学製品の原料
4 航空機の燃料
4. 1 航空機の普及
4. 2 航空機のジェットエンジン構造
4. 3 ジェットエンジンの燃料
5 船舶の燃料
5. 1 船舶の環境対策
5. 2 船舶のエンジンの構造
5. 3 船舶の燃料
6 電気自動車の電気
6. 1 電気自動車の普及
6. 2 電気が“燃料”
6. 3 電力供給
7 電力の主要発電源
7. 1 はじめに
7. 2 火力発電
7. 3 風力発電
7. 4 太陽光発電
8 燃料電池自動車の燃料
8. 1 燃料電池自動車の普及
8. 2 水素燃料の供給
8. 2. 1 水素の製造方法
8. 2. 2 製油所での水素製造
9 製油所はペトロリオミクス法で収益向上
9. 1 ペトロリオミクス法の概要
9. 2 ペトロリオミクス法での最適製品の製造
第9章 石油産業の未来を望洋
1 波乱万丈の石油産業の足跡
2 石油産業を望洋
3 定置式燃料電池
3. 1 定置式燃料電池向けLPG
3. 2 石油化学原料の軽質ナフサ
3. 3 航空燃料の灯油
3. 4 船舶燃料の軽油
3. 5 電気自動車への電力供給
3. 6 燃料電池自動車への水素供給
4 100年後の石油産業は