山本裕紹 宇都宮大学
陶山史朗 徳島大学
水科晴樹 徳島大学
柴田隆史 東京福祉大学
大坪 誠 ㈱アスカネット
前田有希 ㈱パリティ・イノベーションズ
古江直美 日本カーバイド工業㈱
矢賀部 裕 日本ゼオン㈱
佐藤公一 日本特殊光学樹脂㈱
Heather Macdonald Tait Ultrahaptics Limited
苗村 健 東京大学
宮崎大介 大阪市立大学
小池崇文 法政大学
岩根 透 ㈱ニコン
山田 渉 ㈱NTTドコモ
山本健詞 (国研)情報通信研究機構
Boaz Jessie Jackin (国研)情報通信研究機構
涌波光喜 (国研)情報通信研究機構
市橋保之 (国研)情報通信研究機構
奥井誠人 (国研)情報通信研究機構
大井隆太朗 (国研)情報通信研究機構
井村誠孝 関西学院大学
古賀崇了 徳山工業高等専門学校
大峠和基 筑波大学
篠田裕之 東京大学
柳田康幸 名城大学
菊田勇人 三菱電機㈱
石川 洵 ㈲石川光学造形研究所
吉田俊介 (国研)情報通信研究機構
森田 学 クラリオン㈱
吉原敬一朗 クラリオン㈱
阿部憲幸 クラリオン㈱
奈良憲和 クラリオン㈱
桑原弘桂 新光商事㈱
藤村恭行 新光商事㈱
渡部博之 NECソリューションイノベータ㈱
高橋 潤 ㈱コト
SF映画に描かれてきたような空中に浮くディスプレイが近い未来の自動車やサイネージに実用化されようとしている。
これまでに到来した3Dディスプレイブームとは異なり,空中ディスプレイに関しては応用が具体的にイメージされたシーズ技術の研究開発が進む傾向が顕著である。空中ディスプレイ技術の開発に着手する動機は様々であろう。大学では,単純にSF映画に出てくるような技術を実現したいという学生の配属が動機となる。産官では,2020年の東京オリンピックを前にして先端技術を実感できるような技術を開発したいという動機や,2025年から始まる自動運転時代におけるインタフェースの根幹を担いたいという動機もあろう。また,空中入力画面により医療現場に革新をもたらしたいという動機や,動物の行動実験に新しい刺激提示を行いたいという動機,空中だけでなく水中に画面を表示したいという動機もある。このように,ただ飛び出していれば良いというのではなく,イメージされた用途を実現するために必要なシーズ技術への要求を明確にして,空中に浮く映像の形成に取り組まれている傾向が空中ディスプレイ研究には目立つ。
本書を通じて,空中ディスプレイは,今や夢の技術ではなく,産業に結びつく現実の技術であることを理解いただけることと思う。読者や執筆者の皆様とともに新しい産業の隆盛を迎えられればと願っている。
(本書「はじめに」より抜粋・改変)
【第Ⅰ編 総論】
第1章 空中ディスプレイが拓く空間インタフェースの展望
1 はじめに ~空中ディスプレイとインタフェース~
2 空中ディスプレイに関連したインタフェースの概要
3 透過型空中虚像ディスプレイと,そのインタフェース
4 空中実像ディスプレイと,そのインタフェース
5 空中実像ディスプレイの例(実像に近い立体知覚像,レンズ型)
6 空中像の不安定性とそのインタフェースによる改善
7 おわりに
第2章 奥行き知覚と両眼視機能の基礎
1 はじめに
2 奥行き知覚
2.1 生理的要因
2.2 心理的要因
3 輻湊と調節の関係性と快適な映像観察
3.1 輻湊と調節の相互作用
3.2 輻湊と調節の不整合による視覚疲労
4 おわりに
第3章 空中ディスプレイの開発動向
1 はじめに
2 空中映像の特長と機能化
3 インタラクティブ空中ディスプレイ
4 今後の展望
5 おわりに
【第Ⅱ編 要素技術】
第1章 ASKA3Dプレート―対面ミラー型マイクロ反射素子を用いた面対称光学結像素子―
1 緒言
2 原理と構造
2.1 構造
2.2 原理
2.3 光学シミュレーション
3 製造方法
3.1 積層方式
3.2 成形方式
4 応用システム
4.1 光学レンズとして
4.2 非接触タッチパネルとして
4.3 空中サイネージ
4.4 その他
5 おわりに
第2章 2面コーナーリフレクタアレイを用いた空中映像表示技術とその応用
1 はじめに
2 空中映像が見える仕組みと空中映像表示の実現方法
3 2面コーナーリフレクタアレイ
3.1 2面コーナーリフレクタアレイによる結像の原理
3.2 2面コーナーリフレクタアレイによる結像のシミュレーション
3.3 2面コーナーリフレクタアレイによる空中映像表示
4 2面コーナーリフレクタアレイを用いた空中映像表示技術の応用
5 おわりに
第3章 再帰反射シート
1 はじめに
2 再帰反射シートの構造と特徴
2.1 ビーズ型再帰反射シート
2.2 ビーズ型再帰反射シートの種類
2.3 プリズム型再帰反射シート
2.4 プリズム素子の形状
2.5 プリズム型再帰反射シートの種類
3 再帰反射性能の評価
4 空中ディスプレイ用の再帰反射シート
4.1 再帰反射シートの設計
4.2 再帰反射シートの表面処理
5 おわりに
第4章 ビームスプリッター(コレステリック液晶フィルム)
1 はじめに
2 材質およびビームスプリッター原理
2.1 液晶とは
2.2 液晶で円偏光を発現させるためには
2.3 ビームスプリッター原理
3 日本ゼオンのフィルム(開発中)
3.1 概略
3.2 ピッチ調整方法
3.3 フィルムの作製
3.4 実際にねじれているかどうかの検証
3.5 円偏光度
4 空中映像への応用例
5 おわりに
第5章 精密シートレンズ
1 はじめに
2 シートレンズについて
2.1 フレネルレンズ
2.2 レンチキュラーレンズ
2.3 シートプリズム
2.4 フライアイレンズ・マイクロレンズアレイ
3 シートレンズの空中ディスプレイへの応用
4 シートレンズの設計と製造技術
4.1 シートレンズの設計
4.2 シートレンズの金型製造と留意点
4.3 シートレンズの成形方法と留意点
5 おわりに
第6章 空中ハプティクスがもたらす価値
1 超音波が触感生成する仕組み
2 ウルトラハプティクスの技術
3 安全性について
4 空中ディスプレイに触感を加える利点
4.1 空中ハプティクスのメリット
4.2 空中ハプティクスのアプリケーション事例
第7章 空中ヒーター
1 はじめに
2 直交ミラーアレイCMA(crossed-mirror array)
3 角パイプアレイSPA(square-pipe array)
4 二層矩形ミラーアレイWARM(double-layered arrays of rectangular mirrors)
5 おわりに
【第Ⅲ編 デバイス・システム】
第1章 テーブルトップ直立空中像ディスプレイ
1 まえがき
2 ミュージアム展示システム
3 メディアの限界をコンテンツでカバー
4 テーブルトップシステムへ
5 むすび
第2章 再帰反射による空中結像AIRR(aerial imaging by retro-reflection)
1 はじめに
2 再帰反射による空中結像(AIRR)
2.1 AIRRの原理
2.1 AIRRの特長
3 Arc3D AIRR
4 おわりに
第3章 体積走査型3次元ディスプレイ
1 はじめに
2 体積走査表示方式の原理
3 傾斜像面による体積走査型3次元ディスプレイ
4 2面コーナーリフレクタアレイを用いた体積走査型3次元ディスプレイ
5 ルーフミラーアレイを用いたヘテロジニアス結像光学系に基づく体積走査型3次元ディスプレイ
6 おわりに
第4章 ライトフィールドディスプレイの基本原理
1 ライトフィールドとは
2 ライトフィールドの表現
2.1 Plenoptic function
2.2 ライトフィールドの座標系
3 インテグラルフォトグラフィ
4 ライトフィールドディスプレイ
4.1 インテグラルイメージング方式
4.2 テンソルディスプレイ方式
4.3 2方式の本質的な違い
5 まとめ
第5章 ライトフィールドの取得と再生技術
第6章 浮遊球体ドローンディスプレイ
1 はじめに
2 ドローンを用いた空中映像表示技術
3 浮遊球体ドローンディスプレイ
3.1 概要
3.2 提案方式
4 おわりに
第7章 ホログラフィ活用型立体ディスプレイ
1 はじめに
2 ホログラフィ
3 電子ホログラフィ
4 ホログラフィック光学スクリーン
5 スクリーンを使った光線再生型立体ディスプレイ
6 スクリーンを使った波面再生型立体ディスプレイ
7 おわりに
第8章 多視点観察可能なインタラクティブフォグディスプレイの開発
1 はじめに
2 不定形なスクリーンを用いるディスプレイ
3 多視点観察可能なフォグディスプレイ
3.1 フォグによる光の散乱
3.2 提案するフォグディスプレイの原理
3.3 フォグスクリーンの生成
3.4 映像の投影
3.5 バーチャル物体とのインタラクション
4 試作したディスプレイ装置と映像提示結果
4.1 試作システム構成
4.2 多視点画像の投影結果
4.3 点拡がり関数の推定と逆フィルタによる画質向上
5 おわりに
第9章 流れの表現に着目したインタラクティブフォグディスプレイ
1 はじめに
2 フォグディスプレイシステムの全体構成
2.1 半円筒状のフォグスクリーンに対する投影映像のキャリブレーション
2.2 Leap Motionによる手の位置および姿勢の検出と剛体モデルの生成
2.3 パーティクルシステムによる流体・落下物体の動作表現と映像生成
3 評価実験とエンターテインメント性を志向した応用コンテンツ
4 おわりに
第10章 空中超音波触覚ディスプレイ
1 はじめに
2 超音波による力の発生
2.1 音響放射圧
2.2 音響放射圧の空間的制御
2.3 音響放射圧の時間的制御
3 映像との同期
3.1 空中触覚タッチパネル
3.2 触覚プロジェクタ
3.3 視触覚クローン
4 おわりに
第11章 匂いディスプレイ
1 空中ディスプレイと匂い
2 香気生成手段
3 香気調合手段
4 香気搬送手段と匂いの時空間制御
5 香りプロジェクタによる匂いの空中提示
6 まとめ
【第Ⅳ編 応用展開】
第1章 通り抜けられる大型空中ディスプレイの開発とその応用
1 はじめに
2 空中映像表示技術
3 大型空中映像の課題
4 反射像の不可視化
5 大型空中映像の画質低下
6 ガイド映像を用いたゲートシステム
7 試作機の開発結果と今後の課題
8 おわりに
第2章 博物館・商業施設への応用
1 はじめに
2 空間映像の種類と構成
2.1 虚像系システム
2.2 実像系システム
2.3 ホログラフィ
3 博物館での応用
4 商業施設での利用
5 おわりに
第3章 テーブルトップでの作業に適した裸眼3次元ディスプレイ技術「fVisiOn」
1 はじめに
2 テーブルトップでの作業に適した3D映像
3 fVisiOnにおける全周3D映像の再生技術
3.1 大量の光線群による3D形状の再現
3.2 試作した3Dディスプレイの外観と内部の構成
3.3 要素画像(多重視点画像)のレンダリング
3.4 全周から観察できる3D映像とその利用例
4 おわりに
第4章 Smart Cockpit®における空中エージェント
1 はじめに
2 ドライバへの情報伝達方法が抱える課題
2.1 Smart Cockpit®ソリューションのユースケース
2.2 ユースケースの実現のために必要な技術とその課題
3 車載情報機器への空中ディスプレイ技術の応用
3.1 AIエージェントにおけるHMIの検討
3.2 AIエージェントに用いる表示デバイスの選定と試作
4 空中エージェントのコンテンツ制作と仮説検証
4.1 空中エージェントのコンテンツ制作
4.2 空中エージェントの評価による仮説検証
5 おわりに
第5章 空中操作ディスプレイ「AIplayⓇ」
1 はじめに
2 AIplayとは
2.1 AIplayの概要
2.2 AIplayの基本構成
2.3 フィンガージェスチャー(AIplay版)
3 AIplayの採用事例
3.1 ハウステンボス株式会社 変なホテル ハウステンボス 無人チェックインカウンター
3.2 大手旅行事業会社A社 接客用テーブル
3.3 JMACS株式会社 非接触サイネージシステム Nadis“ナディス”
3.4 その他
4 AIplayの有効な利用分野について
5 製品紹介
5.1 AIplayによる受付端末ソリューション:AIplay-Info
5.2 AIplayによる医療向けソリューション:AIplay-Air Mouse
5.3 AIplayによる清潔・衛生・予防ソリューション:AIplay-Clean
5.4 エアリーBOX(仮称)
5.5 超音波触覚ユニット
6 今後の取り組み
7 空中ディスプレイの将来展望
8 おわりに
第6章 AirWitch―「まずはやってみる」をサポートする卓上空中ディスプレイ―
1 はじめに
2 空中ディスプレイの課題
3 「まずはやってみる」ことの重要性
4 「AirWitch」とは
5 「AirWitch」は「まずはやってみる」をサポートするキット
6 「AirWitch」の空中映像表示技術
7 空中ディスプレイの特徴―スクリーンレスと実在感―
8 空中ディスプレイの特徴―リアルとバーチャルの融合―
9 楽しさの調節
10 「AirWitch」デモ
10.1 ひつじタッチ
10.2 Beat Module
10.3 OMIKUJI―マーケティング調査用途例―
10.4 PIPEROID® SLOT―複数同期使用例―
11 おわりに