石化原料からバイオマスへ!化学工業のカタチが変わる今を捉える。核酸、二糖類、多糖類、ジペプチド、油脂、芳香族化合物まで世界に冠たる発酵技術と従来プロセスと勝負できるグリーンバイオケミストリーの最前線を詳解!

グリーンバイオケミストリーの最前線
The Frontier of Green Bio Industrial Chemistry

商品概要
個数

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略称
グリーンバイオケミストリー
商品No
bk7237
発刊日
2010年04月01日(木)
ISBN
978-4-7813-0214-0
体裁
B5判,252頁
価格
71,500円 (本体価格:65,000円)
送料
当社負担(国内)
発行
(株)シーエムシー出版
問い合わせ
(株)R&D支援センター TEL:03-5857-4811 MAIL:[email protected]
監修
瀬戸山亨、穴澤秀治
著者
瀬戸山亨   (株)三菱化学科学技術研究センター 合成技術研究所 所長
穴澤秀治   (財)バイオインダストリー協会 事業企画部 部長
荻野千秋   神戸大学 大学院工学研究科 応用化学専攻 准教授
蓮沼誠久   神戸大学 自然科学系先端融合研究環重点研究部 講師
近藤昭彦   神戸大学 大学院工学研究科 応用化学専攻 教授
浦野直人   東京海洋大学 海洋科学部 海洋環境学科 教授
古川 彰   東京海洋大学 大学院海洋環境保全学専攻
高津淑人   同志社大学 微粒子科学技術研究センター 特任准教授
福島和彦   名古屋大学 大学院生命農学研究科 生物圏資源学専攻 教授
三原康博   味の素(株) アミノ酸カンパニー・発酵技術研究所 主任研究員
山下 洋   (株)林原生物化学研究所 開発センター 化粧品開発室 アシスタントディレクター
野畑靖浩   伯東(株) 四日市研究所 研究所長
田畑和彦   協和発酵バイオ(株) バイオプロセス開発センター 主任研究員
角田元男   サントリーウエルネス(株) 生産部 課長
丸山明彦   協和発酵バイオ(株) バイオプロセス開発センター 主任研究員
高久洋暁   新潟薬科大学 応用生命科学部 応用生命科学科 准教授
宮﨑達雄   新潟薬科大学 応用生命科学部 食品科学科 助教
脇坂直樹   新潟薬科大学 応用生命科学部 応用生命科学科 応用微生物・遺伝子工学研究室 研究員
鯵坂勝美   新潟薬科大学 応用生命科学部 食品科学科 教授
髙木正道   新潟薬科大学 応用生命科学部 応用生命科学科 名誉教授
石塚昌宏   コスモ石油(株) 海外事業部 ALA事業センター 担当センター長
生嶋茂仁   キリンホールディングス(株) 技術戦略部 フロンティア技術研究所 研究員
植田 正   三菱化学(株) ポリマー本部 ポリエステル・ナイロン事業部
賀来群雄   デュポン(株) 先端技術研究所 所長
内山昭彦   帝人(株) 新事業開発グループ HBM推進班 開発担当課長
向山正治   (株)日本触媒 基盤技術研究所 主任研究員
高橋 典   (株)日本触媒 研究開発本部 研究企画部 主任部員
土山武彦   BASFジャパン(株) ポリマー本部
井上雅文   東京大学 アジア生物資源環境研究センター 准教授
室井髙城   アイシーラボ 代表;早稲田大学 客員研究員;BASFジャパン(株) 顧問
松山彰収   ダイセル化学工業(株) 研究統括部 技術企画グループ 主席部員
シーエムシー出版 編集部
発刊にあたって
 CO2排出量の削減,原油価格変動のリスク回避のため,化学工業では,化石原料からバイオマスへの代替が積極的に検討され,世界ではすでに大型の化学製品が上市されている。バイオマスの化成品原料としての利用は,従来のエチレンを中心とした化学工業を変え,糖由来の材料から発展する新しい化学工業を形成しはじめている。製法としては,従来からの発酵法を用いた合成がファインケミカルの分野から重化学工業の分野へと応用されるケースが多く,また触媒や微生物利用といった新しい話題もあり,裾野の広がりが見られる。
 植物由来の人工繊維は第二次大戦後に隆盛を極めた時期もあったが,品質/生産性等に本質的な弱点があり,ナイロン,ポリエステルに力負けし市場から退場した。その後,植物由来の化学品は生分解性が大きくとりあげられ,さらに近年はカーボンニュートラルな材料=地球温暖化抑制策として有効なCO2を素材に変えた再生可能資源として脚光を浴びている。
 しかしながら,期待とは裏腹に大きな市場を獲得したものは数が少ない,あるいはほとんどない。現在市場に存在しているものは,市場要求に起因する淘汰を経験した素材である。筆者の見るところ,バイオマス由来の化学品が市場において地位を獲得する要件は,
 (1) 再生可能資源であり結果的にCO2排出量が少ないこと
 (2) バイオマス固有の炭化水素骨格を活用した構造(化石資源からは作りづらい構造)であること
の二つに絞られてきているように思われる。
 地球温暖化対策としては前者の方向性が重視されるべきであろうが,そこに到達するまでに,過渡的に後者の方向性をとるということも正当化され,この過程においてプロセス技術としての完成度が高まっていくという中長期的視点も考えうる。一方,前者は規模を追求するものであるに対し,後者は特殊な機能性の発現という本質的には少量対応技術であることの区別が曖昧となり,両者が混同され誤解されているケースもある。
 本書で取り上げられている化学品の多くは,製品としての立場を比較的明確化できている為,商品としての価値を形成できている。本書の実例を通じて,私たちは何を作れば良いか,作るものにどれほどの価値があるかを考える一助になることを期待する。
書籍の内容
【第I編 概論】
第1章 化学工業からみたバイオマスの利用(瀬戸山亨)
  1. バイオマス化学品のCO2-LCAについて
  2. バイオマスの生産性について
  3. バイオマス由来化学品の製造コストについて
  4. 機能化学品としてのバイオマス由来化学品
第2章 日本伝統の発酵工業からバイオ化学工業へ(穴澤秀治)
【第II編 原料】
第1章 セルロース・デンプン(荻野千秋,蓮沼誠久,近藤昭彦)
  1. はじめに
  2. デンプン
  3. セルロース
  4. おわりに
第2章 海洋性バイオマス(浦野直人,古川彰)
  1. はじめに
  2. バイオマスのエネルギー利用現状とその問題点
  3. 海洋性バイオマスの有効利用
  4. 海洋性バイオマス中の多糖類とその糖化
  5. 海洋性バイオマスを原料とするエタノール生産
第3章 油脂(高津淑人)
  1. はじめに
  2. 油脂の特徴
  3. 油脂からの化学品合成
  4. 油脂化学品製造の研究開発
  5. 脂肪酸メチルエステルを合成する固体塩基触媒反応法
第4章 リグニン(福島和彦)
  1. はじめに
  2. 木質バイオマス(リグノセルロース)の優位性
  3. 国産未利用木質バイオマス
  4. バイオマスに占めるリグニンの位置づけ
  5. リグニンの特徴
   5.1 極めて複雑な構造(多様なモノマー単位間結合)
   5.2 リグニンの難分解性
   5.3 リグニン分析するにも限界
   5.4 生合成機構を利用したリグニン構造制御
  6. おわりに
【第III編 ファインケミカル】
第1章 核酸(三原康博)
  1. はじめに
  2. 新規ヌクレオシドリン酸化酵素の探索
  3. ランダム変異法による酸性ホスファターゼの機能改変
  4. 合理的改変による酸性ホスファターゼの機能向上
  5. ヌクレオシド発酵菌の開発
  6. 反応・精製プロセスの開発
  7. おわりに
第2章 トレハロースの酵素的大量生産と応用(山下洋)
  1. はじめに
  2. デンプンを原料とした酵素法による糖の製造
   2.1 酵素法の特徴
   2.2 なぜデンプンなのか?
   2.3 デンプンを原料として製造される糖類
    2.3.1 デンプンのみを原料とする場合:単糖またはオリゴ糖
    2.3.2 他の原料と組み合わせた場合:配糖体
  3. トレハロースの製造
   3.1 トレハロースとは
   3.2 デンプンからのトレハロース生成系
  4. トレハロースの応用
   4.1 食品への応用
   4.2 香粧品への応用
   4.3 医薬品への応用
  5. おわりに
第3章 アルカリゲネス産生多糖体「アルカシーラン」(野畑靖浩)
  1. アルカシーランの構造
  2. 乳化性
   2.1 三相乳化法
   2.2 アルカシーラン分散液の溶存状態
   2.3 アルカシーランの乳化
   2.4 炭化水素剤における炭素鎖長の影響
  3. アルカシーランの単粒子による三相乳化法を利用した化粧品
   3.1 日焼け止め化粧品
   3.2 クレンジングミルク
  4. まとめ
第4章 新規ジペプチド合成酵素のクローニングとジペプチド生産(田畑和彦)
  1. ジペプチドとその従来の製法
  2. 新規ジペプチド合成酵素のスクリーニング戦略
  3. 新規ジペプチド合成酵素L-アミノ酸α-リガーゼの発見
  4. L-アミノ酸α-リガーゼを用いた新規ジペプチド生産プロセスの概要
   4.1 休止菌体反応法
   4.2 発酵法
  5. アラニルグルタミン(AlaGln)およびアラニルチロシン(AlaTyr)の生産
第5章 アラキドン酸(角田元男)
  1. はじめに
  2. アラキドン酸(ARA)とは
  3. アラキドン酸の醗酵生産
  4. アラキドン酸の有用性
   4.1 粉ミルクへのアラキドン酸とDHA添加の重要性
   4.2 有用性に関する研究
  5. アラキドン酸の構造変換による新たな脂質の創生
  6. おわりに
第6章 CDPコリン(丸山明彦)
  1. はじめに
  2. 生産法の歴史
  3. オロト酸からの新規生産法の開発
  4. UMPの生産
  5. CTPの生産
  6. CDPコリンの生産
  7. 工業的プロセスの構築
  8. おわりに
第7章 工業的スケールでの製造を目指した2-deoxy-scyllo-inososeの微生物生産・精製法の開発(高久洋暁,宮﨑達雄,脇坂直樹,鯵坂勝美,髙木正道)
  1. はじめに
  2. 組換え大腸菌におけるDOI生産システムの開発
  3. 大腸菌培養液からの簡便なDOI精製法の開発
  4. DOIを鍵原料とした物質変換技術
  5. おわりに
第8章 5-アミノレブリン酸(石塚昌宏)
  1. はじめに
  2. ALAの製造方法
  3. ALA配合液体肥料の開発
  4. ALAの広がる応用分野
【第IV編 機能材料】
第1章 遺伝子組換え酵母を利用した乳酸生産(生嶋茂仁)
  1. はじめに
  2. 酵母による乳酸生産
   2.1 酵母の諸性質と乳酸高生産株構築のための基本原理
   2.2 Saccharomyces cerevisiaeの育種
   2.3 Kluyveromyces lactisの育種
   2.4 Candida utilisの育種
   2.5 Pichia stipitisの育種
   2.6 今後の課題
  3. おわりに
第2章 環境持続型コハク酸樹脂「GS Pla(R)の開発」(植田正)
  1. はじめに
  2. 特徴
  3. 用途展開
  4. 生分解性
  5. 植物資源化に向けて
第3章 バイオ由来1,3-プロパンジオール(Bio-PDOTM)とBio-PDOTM出発原料のポリトリメチレンテレフタレート(賀来群雄)
  1. 世界のメガトレンド
  2. デュポンのコミットメント
  3. バイオ1,3-プロパンジオール(Bio-PDOTM)の開発と商業化
   3.1 Bio-PDOTMの製造
   3.2 Bio-PDOTMの基本物性
  4. Bio-PDOTMの用途展開
   4.1 Bio-PDOTMの直接用途
   4.2 Bio-PDOTMのホモ重合体
   4.3 テレフタル酸との共重合体
  5. 環境負荷の軽減
   5.1 Bio-PDOTMの環境削減
   5.2 デュポンSorona(R)ポリマーの環境軽減
  6. まとめ
第4章 ステレオコンプレックスポリ乳酸(内山昭彦)
  1. はじめに
  2. 開発経緯
  3. 開発概況
  4. ステレオコンプレックスポリ乳酸とは
   4.1 位置づけ
   4.2 結晶構造
   4.3 結晶安定化技術
   4.4 特徴
  5. 用途開発
   5.1 繊維
   5.2 フィルム
   5.3 樹脂
  6. 今後の課題
第5章 酸化還元バランス発酵による3-ヒドロキシプロピオン酸,1,3-プロパンジオールの併産方法の開発(向山正治)
  1. はじめに
  2. 嫌気性菌によるグリセリン利用システム―Klebsiella pneumoniae,Lactobacillus reuteriのpduオペロン
  3. 1,3-プロパンジオールと3-ヒドロキシプロピオン酸
  4. 1,3-PDと3-HPAc併産発酵に必要な酵素遺伝子の取得と大腸菌での発現
  5. L.reuteri JCM1112株の培養解析と遺伝子強化
  6. L.reuteri JCM1112株での1,3-PDと3-HPAc併産培養
  7. 今後の方向
  8. おわりに
第6章 バイオマスアクリル酸製造技術(高橋典)
  1. アクリル酸の市場と用途
  2. 石油由来のアクリル酸製法
  3. 石油資源から再生可能資源へ
  4. バイオマスアクリル酸製造技術
第7章 環境対応型エピクロルヒドリン―ソルベイ社のエピセロール―(シーエムシー出版 編集部)
  1. はじめに
  2. エピクロルヒドリンの市場動向
  3. バイオマスからのエピクロルヒドリンの製造方法
  4. バイオマスプロセスの動向
第8章 グリーンプラスチック『エコフレックス』と『エコバイオ』(土山武彦)
  1. はじめに
  2. 『エコフレックス』,『エコバイオ』の特徴
  3. 加工適性およびブレンド適性
  4. 『エコフレックス』,『エコバイオ』での環境対応
  5. 各種用途例
  6. 生分解性および衛生性
  7. 今後の展開
【第V編 展望】
第1章 持続可能なバイオマス利用(井上雅文)
  1. はじめに
  2. バイオマス政策
   2.1 気候安全保障
   2.2 資源,エネルギー安全保障
   2.3 食料安全保障
  3. バイオマス資源の有効利用
   3.1 生態系サービス
   3.2 カスケード利用
  4. バイオマス利用の環境,経済,社会影響
   4.1 バイオ燃料の持続可能性に関する検討
   4.2 GHG排出削減効果
   4.3 土地利用変化に伴うGHG排出
   4.4 その他の影響
  5. バイオケミストリー分野における持続可能性の検討
  6. おわりに
第2章 世界のグリーンバイオケミストリー技術動向(室井髙城)
  1. プロピレングリコール
   1.1 グリセロールからのプロピレングリコール製造
    1.1.1 グリセロール
    1.1.2 グリセロールの脱水水素化
   1.2 乳酸からのプロピレングリコール製造
    1.2.1 乳酸
    1.2.2 乳酸の水素化脱水
   1.3 ソルビトールからのプロピレングリコール製造
    1.3.1 ソルビトール
    1.3.2 ソルビトールの水素化分解
  2. アクリル酸
   2.1 グリセロールの脱水によるアクロレインの製造
    2.1.1 ヘテロポリ酸
    2.1.2 ゼオライト
    2.1.3 WO3/ZrO2
    2.1.4 H3PO4/α-Al2O3
   2.2 バイオ原料
  3. 1,3-プロパンジオール
   3.1 アクロレインの水和
   3.2 デンプン発酵法
   3.3 グリセロールから1,3-プロパンジオール
    3.3.1 グリセロールの水素化分解
    3.3.2 菌体による3-ヒドロキシプロピオンアルデヒドの合成
    3.3.3 グリセロールからの連続合成
   3.4 アクリル酸からの合成
第3章 バイオマス活用の為の課題と展望(瀬戸山亨)
  1. バイオマス活用の為の日本の課題
  2. バイオマス化学品製造の技術展望
   2.1 セルロース,ヘミセルロースの糖化,エタノール製造
   2.2 バイオエタノール誘導品
    2.2.1 エチレン及びその誘導品
    2.2.2 プロピレン及びその誘導品
    2.2.3 C4オレフィン類及びその誘導品
   2.3 リグニンの利用:芳香族類製造の可能性
   2.4 それ以外のバイオマス資源の活用方法
    2.4.1 バイオマスのガス化によるCO/H2の製造,及びメタノール合成,MTO(Methanol to olefin)反応によるオレフィン合成
    2.4.2 糖類の発酵法による乳酸,コハク酸の製造
    2.4.3 グリセリンからのアクリル酸合成
  3. おわりに
第4章 グリーンバイオケミストリーにおける生体触媒の展望(松山彰収)
  1. はじめに
  2. バイオマスの利用
  3. 生体触媒反応の種類
  4. 新しい反応場
  5. おわりに
第5章 グリーンバイオケミストリーの企業動向(シーエムシー出版 編集部)
キーワード
グリーン,ケミストリー,バイオマス,本,書籍
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